航空券比較その2

では,価格とキャンセル条件の違う航空券をいかに数学的に比較するかを紹介します.高校生の数学に出てきた「期待値」という考えをつかいます.記憶に片隅から思い出してみましょう.

期待値

↓は期待値の代表的な問題です.

1枚100円する宝くじを買ったとします.このくじは,10%の確率で500円当たり,1%の確率で10,000円があたります.このくじを買うと得か損か,どちらでしょう?
期待値問題の解き方

各ケースにおいて,その[金額] x [割合] を求め,加算してゆきます.具体的に上の問題を解くとこうなります.

  1. 1%の確率で10,000円当たる → 0.01 x 10,000 = 100円
  2. 10%の確率で500円当たる → 0.1 x 500 = 50円 
  3. 残り89%の確率で外れる → 0.89 x 0 = 0円
  4. これらの合計をする → 100 + 50 + 0 =150円
  5. この 150円が宝くじを1枚買ったときに,”期待”してもよい当たる金額になります
  6. 150円当たるくじだから100円で買えるのならば”得”

したがい,このくじは買ったほうが”得”という答えになります.

キャンセル料金も同じ考え

キャンセル料金も同じ”期待値”で考えることができます.まぁ,実際にはキャンセル料なんて”期待したくない”んですけどね(笑)

では↓に航空券のキャンセル料金むけ期待値問題を解いてみましょう.

キャンセル料の比較(社会人編)

まずは比較する航空券のキャンセル料を下表にまとめました.これを眺めてみましょう.PEX系はキャンセル時期によらずキャンセル料が同じですが,格安券はキャンセル時期によって料金が違います.

”期待値”で考える場合は,まずケースごと,つまり,キャンセル時期ごとの確率を決めてやる必要があります.これは自分のまわりの環境にあわせて「エイヤッ!」と決めてしまいましょう.

私の例ですが,旅行時期が10月上旬なので,人事異動が50%位の確率あり,最悪,旅行のキャンセルを覚悟していました.ただし,人事異動には1週間前の内示がありますから,この時点で旅行中止を決定すれば15日前のキャンセル料が適用されます.思いっきり忙しそうな部署に決定するのは20%位の確率でしょうか.次の可能性としては,異動後の承認が取れない場合.この確率を30%としました.さすがに出発2日前に「やめろ」と言われないだろうから,直前キャンセルは0%.よって下記の可能性を設定し,それぞれのチケットでの期待値(表では「リスク」とした)を求めて比較したので,下表を見てください.

キャンセル時期の可能性の定義:社会人編
航空券種別 格安券(IIT) World Value Super 28 World Value 14
(1) 価格比較
料金 68,000円 83,000円 103,000円
(2) キャンセル料比較
キャンセル時期 違約金 可能性 リスク 違約金 可能性 リスク 違約金 可能性 リスク
〜31日前 0円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0% 0円
30〜15日前 5,000円 20% 1000円 41,500円 20% 8300円 25,000円 20% 5000円
14〜3日前 15,000円 30% 4500円 41,500円 30% 12450円 25,000円 30% 7500円
2〜1日前 20,000円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0% 0円
当日 68,000円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0% 0円
リスク合計 5,500円 20,750円 12,500円
(3) リスク込み価格比較 (1) + (2) の価格
73,500円 103,750円 115,500円

上記より,(航空券の価格)+(キャンセル料のリスク)の合計価格で比較すればよい.したがい,以外にも社会人(子連れナシ)には格安券が有利であることがわかる.

キャンセル料の比較(子連れ編)

では,子連れの場合のキャンセル料の比較をしてみよう.

この例では,親の仕事は休むことが確実であり,土壇場で子供の体調によるキャンセルを想定した.たいてい,こういケースは出発直前が多い.ここでは,出発前日のキャンセル確率を10%,出発当日のキャンセル確率を20%とした.

キャンセル時期の可能性の定義:子連れ編
航空券種別 格安券(IIT) World Value Super 28 World Value 14
(1) 価格比較
料金 68,000円 83,000円 103,000円
(2) キャンセル料比較
キャンセル時期 違約金 可能性 リスク 違約金 可能性 リスク 違約金 可能性 リスク
〜31日前 0円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0% 0円
30〜15日前 5,000円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0%
14〜3日前 15,000円 0% 0円 41,500円 0% 0円 25,000円 0%
2〜1日前 20,000円 10% 2,000円 41,500円 10% 4,150円 25,000円 10% 2,500円
当日 68,000円 20% 13,600円 41,500円 20% 8,300円 25,000円 20% 5,000円
リスク合計 15,600円 12,450円 7,500円
(3) リスク込み価格比較 (1) + (2) の価格
83,600円 95,450円 110,500円

上記より,(航空券の価格)+(キャンセル料のリスク)の合計価格で比較すると,それでも,まだ格安券が12,000円ほど有利であることになった.ただし,格安券には事前座席指定ができなかったりと,別の利便性も考慮に入れて,この12,000円の差をどう見るか慎重に考える必要があると思う.

Update : Oct. 02, 2003